HIVとAIDS エイズ

  HIVとは、ヒト免疫(めんえき)不全ウイルスのことです。このウイルスは、人間がもっているウイルスをやっつける免疫システムの最高司令官のT−リンパ球に感染します。このため、しだいに外部からのウイルスに対する抵抗力がなくなり、健康であれば感染しない様々な細菌によって発病してしまいます。こうして発病した状態をAIDSと呼びます。AIDSとは、後天性免疫不全症候群のことで、生まれた後(後天性)、HIVによって免疫のはたらきを失い(免疫不全)、健康では感染しない病気に感染(症候群)し死に至ります。

 HIVに感染すると、初期症状として2〜4週間後に発熱、頭痛などの風邪に似た症状が起こります。その後は、数年から数十年、AIDSなるまで自覚症状なく、普通と変わらない生活をすることができます。
 HIVは、ほとんどの場合、セックスで感染します。AIDSが発病するまでは全く自覚症状がないため、HIVに感染していることを知らずにセックスをしてしまうこともあります。HIVに感染した人が、セックスをすると他の人に感染させてしまいます。このため、知らないうちに、どんどんとHIVは人間に感染し、わずか20年あまりで全世界に数千万人という非常に多くの感染者を生じました。1度でもセックスを経験がある人であればその危険性を十分理解しておく必要があります。

 HIVは、誰にでも、たった一度のセックスで感染する可能性があるということを十分心にとめて置いてください。

・HIVへの対処

 HIV以外の性感染症は、ほとんど薬で治療することができるのですが、残念なことに今のところHIVを完治する薬はありません。AIDSが発病すると、死に至ります。AIDSの主な症状は、カリニ肺炎、カポジ肉腫、脳炎などでどれも非常に苦しい病気です。
 AIDSが発病しなければ、HIVに感染しているだけなら、普通に生活できます。このため、早期にHIVの感染に気づけば、抵抗力を付けるために栄養の良い食事を取ったり、十分な睡眠を取り規則正しい生活をすることでAIDSの発病を遅らせることもできます。最近では、AIDSの発病を抑える薬がたくさん開発されています。これらの薬を飲むことにより、自分の本来の寿命までAIDSが発病しなければよいのです。

 性感染症への感染予防にコンドームを利用しましょう。

・HIVの感染経路

 HIVは、セックス以外でまず感染することはありません。HIV感染者と握手をしたりしても感染しません。キスをしたりしてもまず大丈夫です。このため、学校や職場、普通に生活している場所にHIV感染者の人がいたとしても、何も心配する必要はありません。
 ただし、血液どうしが接触するような場合では感染する可能性が高くなります。傷口をなめたり、口内炎があるときに性器をなめたり、肛門でセックスをしたりするような場合です。外国では、麻薬中毒者が同じ注射器で複数の人が回しうちをしたため、感染が広がりました。

 HIVは、それほど感染力の強いウイルスではないのですが、一回のセックスでも感染することがあります。また、最近急激に増加しているクラミジアや、パピローマ・ウイルスに感染していると、HIVに非常に感染しやすくなります。クラミジアなどに感染していると、膣内に炎症が生じているため、炎症部分に細菌をやっつける白血球などの免疫システムがが集まってきます。HIVは、この免疫に感染するので、感染していない人に比べて5倍くらいHIVに感染しやすくなります。
 日本では、10代、20代の女性に爆発的にクラミジアが流行しています。このため、10代の女性でもHIV感染者が確認され、先進国のなかで唯一、感染者数全体も増加しています。

・HIVの検査

 HIVに感染しているのではと気になる場合は、危険なセックスをした2ヶ月後以降に近くの保健所で検査を受けてください。無料で、匿名で検査を受けることができます。早期に発見できれば、薬による治療でAIDSの発病を抑えることができます。

・HIVを自宅で検査する。

 保健所や、病院に行けないときは性感染症の検査薬で、自宅で検査することができます。

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